Amazonプライム・ビデオとNetflixのオリジナルビデオ戦略を比較

最近、僕はAmazonプライム・ビデオとNetflixに注目して記事を書いています。
なぜ、注目しているかというと、今までにないやり方でコンテンツを開発したり、マーケティングを展開しているからです。
今回は、両者のオリジナルビデオ戦略を比較してみました。

まず、オリジナルビデオとは?

かつてオリジナルビデオといえばVシネマなどのことでした。
これは映画会社などが制作し、劇場で公開しない映画としてビデオでリリースしていた作品です。
のちにビデオ制作会社も参戦、様々なジャンルの作品が作られました。
これらに共通しているのは「低予算」。
そのため粗製濫造になりがちですが、時々、カルト的なヒット作を生み出すというメリットもありました。
例えば、大ヒットした映画『呪怨』シリーズも第1作目は低予算のオリジナルビデオとして制作されました。

Amazonプライム・ビデオとNetflixのオリジナルビデオは
予算をかけたドラマシリーズ

従来のオリジナルビデオと同じ名称ですが、Amazonプライム・ビデオとNetflixのオリジナルビデオは内容と質が異なります。
まず、予算の掛け方がちがいます。

ギャラのかかるハリウッドスターやスタッフを起用、そして、単体ではなくシリーズとして制作しているので当然、制作費がかかります。

映像エンターテイメントの制作経験のないAmazonプライム・ビデオやNetflixの作る作品なので「クオリティが低いのでは」と心配していましたが杞憂でした。

両者の作品がゴールデングローブ賞やエミー賞に受賞&ノミネートされていることからもハイクオリティな作品であることが分かります。

ビッグデータを駆使する21世紀のオリジナルビデオ戦略

かつてのVシネマなどを20世紀のオリジナルビデオとすると、Amazonプライム・ビデオとNetflixは21世紀のオリジナルビデオと位置づける事ができます。

20世紀のオリジナルビデオは、当時、斜陽産業となりつつあった邦画業界が新しいチャネルを求めてレンタルビデオ市場に参入したものです。(その後、邦画業界が復活するのは21世紀に入ってからです)そのため、フィルム時代の映画的なやり方が基本で、あらゆる面でアナログ的アプローチになっています。

それに対して、Amazonプライム・ビデオとNetflixもWEBをフィールドとする企業で、デジタルテクノロジーを駆使します。

以前の記事『ビッグデータでキャスティング!?Netflix制作のオリジナルドラマがもたらす影響』でも書きましたが、Netflixはキャスティングにビッグデータを使っています。たぶん、Amazonも同じ事をやっているでしょう。

そのため、経験やカンに頼るのではなく、データに裏付けられたカタチでユーザーが見たいと思う作品を作れるのです。

ひとりひとりのユーザーに最適なコンテンツの提供をめざすNetflix

Netflixはレコメンド機能によりひとりひとりのユーザーに最適なコンテンツの提供を行っています。
趣味・嗜好にあった作品を素早く紹介してくれるこの機能でNetflixは大成功しました。
動画配信サービスはビッグデータを駆使して、いかにユーザーを取り込むかが勝負になっています。
そういった戦略の大きな柱としてオリジナル・ビデオが存在します。

日用品の売上のアップ効果をめざすAmazonプライム・ビデオ

同様の状況でちょっと異質なのがAmazonです。
CEOペゾスが株主向け年次書簡で語っているように「オリジナルビデオの制作により、結果、電動工具や赤ちゃんのおむつの売上が伸び、利益を生む構造を作る」ことが目的のようです。

Netflixのように自分のサイトにユーザーを囲い込むために頑張っているのではなく、Amazon全体の業績のアップを図るため、Amazonプライム・ビデオを制作しているという考えです。

大手量販店のイオンがプライベートブランドを作るような感覚で、Amazonはオリジナルビデオを制作しているのです。
そう考えると、自社サイトの動画視聴促進をめざすNetflixよりもオリジナルビデオで日用品の売上のアップをめざすAmazonプライム・ビデオの方が、ペゾスがいうように新しいビジネスモデルといえるでしょう。

【こちらの関連記事もどうぞ。クリックでご覧になれます】
◆ Hulu、Netfixに続きスタートするAmazonプライム・ビデオのポイント!
◆ Netflix(ネットフリックス)ついにスタート!1ヵ月無料体験やってみた!
◆ ビッグデータでキャスティング!?Netflix制作のオリジナルドラマがもたらす影響
◆ Netflix『デアデビル』エピソード1はリアルで、ヒーローもの+謎解きの面白さ!
◆ Netflix公開オリジナルドラマ『デアデビル』を見る前に知っておきたい4つのこと
 Amazonプライム・ビデオが有利?コンテンツ豊富なのに探しづらいHulu
 Amazonプライム・ビデオのオリジナルドラマ『トランスペアレント』レポート
 予測不可能な展開!?Amazonプライム・ビデオの『ミスター・ロボット』

まとめ

  • 20世紀のオリジナルビデオは低予算。Amazonプライム・ビデオとNetflixが作る21世紀のオリジナル・ビデオは豊富な予算でハイクオリティなドラマシリーズ
  • Amazonプライム・ビデオとNetflixもビッグデータを駆使してオリジナル・ドラマを制作している
  • レコメンド機能によりひとりひとりのユーザーに最適な映画の提供するNetflix
  • 日用品の売上のアップ効果をめざすAmazonプライム・ビデオ

Hulu、Netfixに続きスタートするAmazonプライム・ビデオのポイント!

9月2日にスタートしたNetflix。それを追うように9月下旬からAmazonプライム・ビデオがスタートします。
Hulu、Netflix、Amazonプライム・ビデオと注目の動画配信サービスが揃い踏みするため、
どのサービスを使うか迷っている人も多いのではないでしょうか。
今回はまだスタートしていないAmazonプライム・ビデオの魅力を探ってみました。

ポイント1:プライム会員は無料で視聴できる

Hulu、Netflixに差をつけるAmazonプライム・ビデオの最大の魅力は
プライム会員は無料で視聴できることでしょう。
プライム会員とは、年会費3,900円(税込)で以下のような特典が利用できる会員制プログラム。
● 通常360円かかるお急ぎ便、お届け日時指定便が無料で使い放題
● KindleオーナーズライブラリーでKindle本を毎月1冊無料で楽しめる
● タイムサービスを30分早く参加できる
● そして、Amazonプライム・ビデオを無料で視聴できる

ポイント2:会員数では一気にダントツ

Amazonプライム会員数は公開されていませんが、
Amazonユーザーの5〜7%くらいといわれています。
一説によると世界にAmazonプライム会員が1000万人以上いるということです。
そのうち何パーセントが日本の会員か分かりませんが、
Amazonプライムビデオはスタートを機に一夜にして万単位の視聴者を獲得する事になります。
これは会員登録を必要とするHulu、Netflixよりも何歩もリードしています。
無料で視聴できる人が多ければ利用頻度も情報拡散力もスタート同時に一気に高まる事が予想されます。
それで満足度がHulu、Netflixと同じであればAmazonプライム・ビデオを選択する人が増えていくでしょう。

ポイント3:オリジナルコンテンツに注目!
特に人気小説の映像化はamazonらしい!

日本のAmazonプライム・ビデオのホームページにはAmazonスタジオ制作の
「トランスペアレント(ゴールデン・グローブ賞受賞)」
「モーツァルト・イン・ザ・ジャングル」
「The Man in the High Castle(邦題未定)」
  子供向けTV番組「タンブルリーフ」
などのオリジナル作品が紹介されています。

アメリカのホームページをのぞくと

「Hand of god」
「Bosch」
「Gortimer Gibbon's Life on Normal Street」
といったオリジナル作品が公開されています。
Amazonオリジナルコンテンツは途切れる事なく続々登場していくようです。
特徴は、
ハリウッドの映画会社が作るような王道のシリーズ(「トランスペアレント」「Hand of god」)
ファミリー向けのシリーズ(「タンブルリーフ」「Gortimer Gibbon's Life on Normal Street」)
人気小説の映像化作品(「The Man in the High Castle」「Bosch」)
といったジャンルの幅広さ。
特に人気小説の映像化作品は、書籍の充実しているAmazonならではのジャンル。「The Man in the High Castle」はフィリップ・K・ディップの小説「高い城の男」。
第二次世界大戦で“もし”ドイツと日本が勝利していたら…
という仮定の上に構築された悪夢のような物語を映像化しています。

「Bosch」は作家マイクル・コナリーによる
刑事ハリー・ボッシュを主人公とするミステリー小説の人気シリーズ。

オリジナルコンテンツはNetflixも力をいれてますが、
Amazonは人気小説の映像化などプライム会員に受けそうな作品を作るなど独自色を打ち出しています。

予告編を見る限り、Amazonプライム・ビデオのオリジナルコンテンツは野心的で魅力に満ちています。

まとめ

  • Amazonプライム・ビデオはプライム会員なら無料で視聴できる
  • 会員登録を必要とするHulu、Netflixに比べ既存のプライム会員がすぐ無料利用できるAmazonプライム・ビデオは一気に視聴者を獲得できる
  • 人気小説の映像化作品など、Amazonプライム・ビデオのオリジナルコンテンツは野心的で魅力に満ちている

Netflix『デアデビル』エピソード1はリアルで、ヒーローもの+謎解きの面白さ!

Netflixオリジナルドラマ『デアデビル』がスタートしたのでシーズン1のエピソード1を視聴しました。

これまで見てきたオリジナルドラマ、例えば『X-ファイル』や『24』は

ハリウッドを代表する映画会社の系列作品でした。

その他も主だったドラマシリーズはアメリカのTVネットワークなどの作品でした。

つまり、メジャーなマスコミが作っていたのです。

それに対して今回の『デアデビル』はNetflixという動画配信サービスが作ったオリジナルドラマです。

そのあたりを意識しながら『デアデビル』エピソード1をチェックしました。

デアデビルとは「向こう見ずな人」という意味

まず、『デアデビル』の基礎知識から。

  • 原作はマーベルコミックス。
  • 主人公はデアデビル。その正体は盲目の弁護士マット・マードック。

スパイダーマンのように糸を出すような特殊能力がある訳でも、

X-MENのような超能力を持っている訳でも、

アイアンマンのようにお金に物を言わせて武装している訳でもありません。

デアデビルの武器は「素手の殴り合い」です。

実はデアデビル(daredevil)には「向こう見ずの人」「がむしゃらな人」という意味があります。

エピソード1の冒頭でも描かれている事故で盲目となったマードックは

のちに手に入れた超感覚を駆使して悪と殴り合います。

主人公は目の不自由な方なので素手で悪を倒すという設定は確かに「向こう見ず」です。

破天荒といってもいいでしょう。

素手で戦うことにこだわるリアルな演出

2003年に公開された映画版『デアデビル』は全体的に洗練されていて「向こう見ず感」が余りありませんでした。

しかし、Netflixオリジナルドラマ『デアデビル』は向こう見ず感を強調する“リアル”な雰囲気を狙っています。

例えば、コンテナに積み込まれそうになる女性たちをデアデビルが救うシーン。

この時、デアデビルは悪党をボコボコに殴ります。

また、殺人事件の容疑者になった女性が独房で殺されそうになるシーンもリアルです。

「見ていられない」というほど過激な描写ではありません。

でも、メジャーなマスコミが作ってきたドラマシリーズよりもハードで、

素手で戦う描写がじっくり描かれるのが特徴的です。

ゆらゆらと不安定なカメラ、『セブン』のようなトーン

ドキュメタリータッチを狙ってかカメラの細かい手ぶれがあります。

例えば、殺人容疑の女性とマードックたちが警察の取調室で話すシーン。

登場人物の会話にあわせてカメラはパンしますが、なんだか揺れていて不安定です。

これはリアリティ感を狙っての演出なのか、

それとも低予算で撮影しているせいなのか、分かりません。

従来のアメリカ製ドラマシリーズだったらカメラはフィックスされ、

こんなにゆらゆらしすることはないと思います。

ある意味、新鮮です。

その他、リアルさを強調していると思われる演出は

取調室のシーンで女性の右の唇の上にあるニキビ(?)、

同シーンで女性の泣きつかれた顔、

マードックの無精髭など、

全体的にリアルなトーンが随所に見受けられます。

そのため、映像の雰囲気は、マーベルヒーローものというより、

デビッド・フィンチャーの『セブン』に近い気がします。

こういったリアルな演出を良しとするか、それとも暗いと感じるかで好き嫌いが分かれるかもしれません。

ヒーローもの+謎解きの面白さ!ストーリー展開に期待

さて、ストーリーの感想です。

ぼくは「かなり期待できる!」と思いました。

気の利いたセリフがあり、退屈になりがちな会話のシーンも見せてくれます。

さらに、見逃せない点。

それは主人公マードックが昼間は弁護士として活動しているという設定を活かし、

事件の真相を追求するストーリです。

エピソード1を見る限り、ヒーローものに謎解きという要素をプラスしています。

これまでのヒーローものにない新しい展開が期待で来ます。

エピソード1では、まだ、デアデビルはおなじみの赤いコスチュームで登場しません。

今後の展開に注目です!

まとめ

  • デアデビル(daredevil)とは「向こう見ずの人」「がむしゃらな人」という意味
  • 素手で戦うことにこだわるリアルな演出が特徴
  • 映像のトーンは、マーベルヒーローものというより、デビッド・フィンチャーの『セブン』に近い
  • ヒーローもの+謎解きの面白さ!ストーリー展開に期待

ビッグデータでキャスティング!?Netflix制作のオリジナルドラマがもたらす影響

NetflixやHuluはすでに独自制作のオリジナルドラマを公開しています。今後、amazonプライムビデオもこの流れに続くと宣言しています。

これまでドラマなどのコンテンツは映画会社やテレビ局が作るものでした。

でも、これからは動画配信サービスがコンテンツの制作者として重要な役割を果たす時代になります。

本ブログでは、Netflixやamazonプライムビデオがスタートする9月を「動画配信サービスを見直す月」と考え、現在、Netflix関連記事を以下のように配信中です。

こちらの関連記事もどうぞ!
【amazonプライムビデオ、Netflix、Huluの動画配信サービスを比較】
【Netflix公開オリジナルドラマ『デアデビル』を見る前に知っておきたい4つのこと

Netflixのような動画配信サービスが
オリジナルドラマを作るとどんな影響が考えられるか?

キャスティング会社がいらなくなる

Netflixのオリジナルドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』は監督デヴィッド・フィンチャー、主演ケヴィン・スペイシーの人気ドラマです。

通常、監督や主演を決めるのはプロデユーサーやキャスティング会社の仕事です。

しかし、Netflixはこのオリジナルドラマの監督と主演をビッグデータを使って決めました。

デヴィッド・フィンチャーとケヴィン・スペイシーの2人なら視聴者は見てくれる…
Netflixはビッグデータの分析をもとにそう判断しました。

ビッグデータで監督やキャストを決める時代が来る、なんて誰が考えていたでしょう?

もう、キャスティング会社はいらなくなるかもしれません。

でも、視聴者が望むモノを提供すると考えれば、これからの時代、映像エンターテイメントの世界でもビッグデータの利用は増加すると考えられます。

映画館に行かなくなる、テレビを見なくなる

ハリウッドを代表するトップクラスのクリエイターの作品が定額制の動画配信サービスで視聴できるのは幸せなことです。

動画配信サービスが良質のコンテンツを量産する事により、
私たちの映像エンターテイメントを楽しむスタイルが変わっていく可能性があります。

テレビの登場により、それまで全盛だった映画館が衰退していったように、
新しい娯楽のスタイルは古い娯楽のスタイルを減退させる可能性があります。

動画配信サービスの躍進により、わざわざ劇場に映画を観に行く人やテレビの地上波でドラマを見る人が減る可能性があります。

映画の尺を超えた、新しいエンターテイメントの挑戦

コーエン監督の『ファーゴ』シリーズ、ナイト・シャラマン監督の『ウェイワード・パインズ』など、

最近、大ヒットを飛ばした映画監督が続々、ドラマシリーズを製作しています。

『ハウス・オブ・カード 野望の階段』のデヴィッド・フィンチャーとケヴィン・スペイシーも同様です。

映画で実績のある監督、スターたちがドラマシリーズに挑むのは、2時間という映画の尺を超えたストーリー展開に魅力を感じているからです。

ハリウッド映画のハイクオリティでありながら、映画の枠を超えた新しい映像エンターテイメントが、これからはどんどん誕生し、映像エンターテイメントをもっと楽しませてくれるでしょう。

まとめ

  • Netflixのオリジナルドラマ『ハウス・オブ・カード 野望の階段』はビッグデータを使って監督や主演を決めている
  • 動画配信サービスのオリジナルドラマが人気を高めると、映画やテレビの試聴が減少するといった影響が考えられる
  • 映画の尺を超えたドラマ作りが可能となり、新しい映像エンターテイメントが楽しめるようになる